聖徳太子に寄せて

本日は二月二十五日、聖徳太子様の祥月命日です。

太子は仏教を広め、法隆寺や四天王寺といった寺院を建立し、十七条憲法を制定するなど、日本の礎を築かれた偉人です。特に太子が建立された法隆寺と四天王寺は、今もなお多くの人々が訪れる歴史的な寺院です。そして、厳しい冬が過ぎ、春の兆しも感じられる頃となりました。日も長くなりました。この春の訪れのように、私たちも常に新しい心で阿弥陀仏を念じ、お浄土に往生することを願うことが大切です。

「有頂天」とは、仏教の言葉で、欲界の最高天のことを指します。この世のあらゆる欲望を満たすことができ、最高の喜びを味わえる世界とされています。

しかし、仏教では、この有頂天でさえも、永遠の安らぎを得られる場所ではないと説きます。なぜなら、有頂天の喜びもまた、いずれは尽きてしまうからです。私たち人間は、ついつい目先の喜びに囚われ、永遠の幸せを見失いがちです。まるで有頂天の住人のように、一時的な快楽に溺れ、本当の幸福を見過ごしてしまうのです。阿弥陀仏は、私たちを救うために四十八の大願を立てられました。その中でも特に重要な第十八願は、すべての人々がただ南無阿弥陀仏を称えれば、必ず極楽浄土に往生できるというものです。

聖徳太子もまた、仏教の教えを深く信じ、実践された方です。先日、知恩院に参拝する機会がありました。法然上人の御影を拝していると、心に静かな感動とやる気が湧き上がってきました。少し前に、ある方とのお別れがありました。最期の瞬間、私は何も言葉をかけることができませんでした。深い悲しみと、どう声をかけていいのかわからない未熟さ、そして、もっと何かできたのではないかという後悔の念が、心に重くのしかかりました。

私たちは、生きている間、様々な経験を通して学び、成長していきます。そして、その学びは、私たち自身だけでなく、周りの人々、そして、すでにこの世を去った人々への祈りへと繋がっていくのです。会いたい人がいる、当たり前ですがそれは大変幸せなことです。あなたの会いたい人は誰ですか?

南無阿弥陀仏

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愛知県知多郡東浦町にある「浄土宗 乗林院。「心の拠り所」として多くの方に親しんでいただけるお寺にしたいと考えています。

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