自分を変えてみる

今年も残すところあと一週間となりました。この一年を振り返ると、楽しい出来事がたくさんあった方もいれば、思い通りにいかず困難や苦労に直面した方も多かったことでしょう。それでも、こうして無事に年の瀬を迎えることができたのは、何よりも尊いことであります。とはいえ、感謝の気持ちを持つことが難しい場面も多いのが現実です。けれども、視点を変えたり、自分の心を整えたりすることで、どんな出来事にも感謝すべき点を見つけられる可能性があります。それが「相手や状況を変えるのではなく、自分を変える」という考え方です。

年齢を重ねることで体が不自由になる

 
年齢を重ねることで、当たり前にできていたことが徐々に難しくなっていくことは、誰にとっても避けられない現実です。手足が思うように動かなくなったり、階段を上るのが大変になったり、目や耳が少しずつ衰えたりすることで、不便さを感じる瞬間が増えることもあるでしょう。人の助けが必要になったとき、支えてくれる家族や友人、介助者の優しさに気づき、そのありがたさを感じる機会が増えることもあります。体の衰えや不自由さが、周囲の人々との絆を深めるきっかけになることもあるのです。さらに、年齢を重ねることで得られる経験や知恵は、若い頃には手に入れられなかった大切なものです。時間をかけて物事に向き合うことで、これまで気づかなかった小さな喜びや感謝の瞬間に出会えることもあるでしょう。

人混みに巻き込まれたとき

 
年末年始のイベントやショッピングなどで人混みに巻き込まれると、思うように進めず、イライラしてしまうことがあります。「もっと空いていればいいのに」「なぜこんなに人が多いのか」と感じることもあるでしょう。また、混雑している空間では音や視覚情報が過剰になり、脳がその情報を処理するのに負担を感じることも、ストレスの一因とされています。とはいえ、このような状況でも感謝の気持ちや新しい視点を見つけることができます。たとえば、人混みの中で見られる「多くの人々が楽しんでいる様子」や「お互いに譲り合う姿勢」などは、私たちが大勢の人々と同じ時間や空間を共有している証です。一人では感じられない「連帯感」や「賑わいのエネルギー」を楽しむことができるのは、人混みの中だからこそ味わえる特別な経験です。

また、人混みの中でイライラや焦りを感じた際、深呼吸をして自律神経を整えることが有効です。立ち止まって呼吸を整えながら周囲を眺めてみると、不思議と落ち着いた気持ちになるかもしれません。
人混みが苦手な方にとっては、感謝を見つけるのが特に難しいかもしれません。しかし、心の中で「自分もこの中の一人である」という事実を受け入れると、思いがけない一体感が得られることもあります。ただ、お財布やヶータイなどの落とし物にお気を付けください。


んのつく食べ物で締めくくる

 
年末になると、「んのつく食べ物」を食べる習慣があります。これは「ん」のつく食べ物が「運」を呼び込むとされているからです。「ん」の音は、日本語の五十音の中で最後にくる音であるため、「物事を完結させる」「締めくくる」という意味が込められています。食べることで、運気を取り込み、無事に新年を迎えることができると考えられているのです。たとえば、「うどん」はその長さから長寿を、「みかん」は冬の定番であり、家族の団らんを象徴します。「れんこん」は穴が空いていることから未来を見通せる、「だいこん」はその白さから清らかさを意味します。「こんにゃく」は弾力があり「粘り強さ」を象徴し、「かんぴょう」は巻くことから人や縁を結びつけるとされています。こうした食材を食べることは、体にも心にも「運」を呼び込む行動と言えるでしょう。

一年を振り返る

どんな出来事にも、感謝すべき点が必ず隠されています。「難しいけれど、感謝できる要素を探してみる」ことで、気持ちが少しずつ前向きに変わっていくのです。すべての出来事が自分の成長に繋がったことに感謝して、新しい年を迎えてみてはいかがでしょうか。

一年間、本当にありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。

南無阿弥陀仏

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この記事を書いた人

愛知県知多郡東浦町にある「浄土宗 乗林院。「心の拠り所」として多くの方に親しんでいただけるお寺にしたいと考えています。

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