阿弥陀如来について

乗林院の阿弥陀如来像

阿弥陀如来(阿弥陀仏)は、すべての人を救う仏さまとして知られ、「無量光仏(むりょうこうぶつ)」と「無量寿仏(むりょうじゅぶつ)」とも呼ばれます。
これは、無限の光と寿命を象徴し、身分や罪の重さに関わらず、誰もを苦しみから救い、極楽浄土へと導いてくださる存在です。

阿弥陀如来は、過去久遠の昔、法蔵菩薩として修行をされていました。
彼は世自在王仏の前で、すべての人を救うために「四十八の誓願」を立てます。

その中でも特に重要な願いは、
「念仏を称える者を、必ず極楽浄土に迎え入れる」
という誓いです。

この誓願を成し遂げたことで、宝蔵菩薩は悟りを開き、阿弥陀如来となられたのです。

 

浄土宗 乗林院

阿弥陀如来がつくられた極楽浄土は、苦しみや迷いが一切ない、安らぎと光に満ちた理想の世界です。

  • 苦しみや不安から解放される世界
  • 念仏を称える者が生まれ、悟りを開ける場所

「この命がつきたらどうなるのか…」
人生の不安に寄り添い、死後の行き先として極楽浄土を示してくださるのが阿弥陀如来です。

阿弥陀如来の救いは、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)を称えることで得られます。

阿弥陀如来の救いは、死後だけではありません。

  • お念仏を称えることは、現世でも悟りを得るための心がけを意味します。
  • 人格を高め、社会のために尽くし、日々を穏やかに、精一杯生きることが阿弥陀如来の願いに応える道です。

阿弥陀如来の教えは、以下の経典に説かれています。

  1. 『無量寿経』:阿弥陀如来の誓願と浄土の成り立ち
  2. 『観無量寿経』:極楽浄土への観想方法
  3. 『阿弥陀経』:念仏の功徳と浄土への往生

—— 日本最古の阿弥陀如来像 ——

奈良県法隆寺にある「阿弥陀三尊像」(飛鳥時代・7世紀)は、日本における阿弥陀信仰の初期の象徴として知られています。

阿弥陀三尊像

画像引用:法隆寺

—— 阿弥陀如来を信仰した人々 ——

古代インド・中国

  • 曇鸞(476-542):称名念仏を教義の中心に据えた僧侶。『往生論註』を著した。
  • 道綽(562-645):浄土教の発展に貢献した僧侶。『安楽集』を著した。
  • 善導(613-681):中国浄土教の大成者。『観無量寿経疏』を著し、称名念仏の実践を広めた。

奈良時代

  • 聖武天皇(701-756):東大寺大仏(盧舎那仏)を建立したが、阿弥陀如来も信仰した。
  • 行基(668-749):民衆教化に尽力した僧侶。各地に寺院を建立し、阿弥陀如来像も多く造立した。

平安時代

  • 空也(903-972):念仏聖として知られる。市井で念仏を広め、「市の聖」と呼ばれた。
  • 源信(942-1017):『往生要集』を著した天台宗の僧侶。浄土教思想の体系化に貢献した。
  • 藤原道長(966-1028):摂政・関白。『御堂関白記』に阿弥陀如来への信仰が記されている。
  • 藤原頼通(992-1074):摂政・関白 平等院鳳凰堂を建立し、阿弥陀如来像を安置した。

鎌倉時代

  • 法然(1133-1212):浄土宗の開祖 専修念仏の教えを広め、多くの人々を救済した。
  • 源頼朝(1147-1199):鎌倉幕府初代将軍 阿弥陀如来への信仰を持ち、多くの寺院を建立した。
  • 北条政子(1157-1225):源頼朝の妻 阿弥陀如来への信仰を深め、多くの仏事を行った。
  • 親鸞(1173-1263):浄土真宗の開祖 阿弥陀如来の本願を重視し、絶対他力の教えを説いた。
  • 一遍(1239-1289):時宗の開祖 踊念仏を広め、全国を遊行した。
  • 北条時宗(1251-1284):鎌倉幕府第8代執権 元寇の際、阿弥陀如来に祈願したとされる。

室町時代

  • 足利義満(1358-1408):室町幕府第3代将軍 金閣寺を建立し、阿弥陀如来像を安置した。
  • 一条兼良(1402-1481):公卿・学者 阿弥陀如来への信仰を深め、多くの著作を残した。

戦国時代

  • 竹中半兵衛(1544-1579):織田信長の家臣 阿弥陀如来を念持仏として信仰していたと伝えられている。和歌山県の西方寺に、竹中半兵衛の念持仏と伝わる阿弥陀如来座像が祀られている。
  • 織田信長(1534-1582):織田信長は、天下統一を目指した戦国武将 信長自身は特定の宗教に偏重することを避ける傾向がありましたが、個人的には浄土宗の清玉上人に帰依していたとされています。

江戸時代

  • 徳川家康(1543-1616):江戸幕府初代将軍 増上寺を菩提寺とし、阿弥陀如来を信仰した。
  • 松尾芭蕉(1644-1694):俳人 多くの句に阿弥陀如来への信仰が表れている。
  • 良寛(1758-1831):僧侶・歌人 阿弥陀如来を讃える和歌や漢詩を多く残している。

明治時代以降

  • 夏目漱石(1867-1916) : 作家 阿弥陀如来への関心を深めたとされる。
  • 谷崎潤一郎(1886-1965) : 小説家
  • 高倉健(1931-2014) : 俳優 鎌倉の光明寺に墓碑がある。
  • 成田有恒(1932年-2016) : 増上寺第87代法主であり、小説家。
  • 三遊亭円楽(6代目)(1950-2022) : 落語家。東京都足立区にある浄土宗寺院「易行院」の出身で、実家が浄土宗のお寺である。
  • 樹木希林(1943-2018) : 女優
  • リチャード・ギア (1949-) : アメリカの俳優
  • スティーブン・セガール (1952-) : アメリカの俳優
  • 安倍晋三(1954-2022) : 政治家
  • キアヌ・リーブス (1964-) : カナダ出身の俳優。仏教に興味を持ち、特に浄土系の教えに惹かれているとされる。
  • 桜井和寿(1970-) : ミュージシャン
  • 小籔千豊(1973-) : 芸人
  • オーランド・ブルーム:イギリスの俳優。仏教徒として知られ、阿弥陀如来への信仰も示唆している。
  • 高木隆太(1984-) : 浄土宗 乗林院住職

阿弥陀如来はすべての人々を救う仏さまです。

  • 南無阿弥陀仏を称えることで、極楽浄土への道が開かれます。
  • 現世を穏やかに、精一杯生きることも阿弥陀如来の願いです。

日々の暮らしにおいて、阿弥陀如来の光に包まれ、心の平安を得ることが、人生の支えとなります。

乗林院の阿弥陀如来像