私は二匹のチワワを飼っていました。末っ子で下に兄弟がいなかったせいか、その愛らしい姿、温もり、そして共に過ごしたかけがえのない日々を思い出します。
特に、初めて抱き上げた時のあの小さな温もり、そして、私の帰りを尻尾を振って喜んでくれた時のキラキラとした瞳は、今でも鮮明に覚えています。家族に文句を言われながら寒い日はよく同じ布団で眠りました。
ただ可愛いだけでなく、辛い時や悲しい時にも、いつも同じ表情で寄り添ってくれました。まるで、私の心の声を感じ取っているかのように、そっと傍にいてくれたました。本当にかけがえのない、大切な弟でした。
すべての生き物は、生まれ変わり死に変わりを繰り返す輪廻の中にあります。私が飼っていた犬もまた、その一生を終え、旅立ちました。浄土宗では、念仏を称えることで、阿弥陀仏の極楽浄土に往生できると説きます。犬は言葉を持たない生き物ではありますが、その純粋で優しい心は阿弥陀仏に届き、きっと安らかな世界へと導かれていることでしょう。
法然上人の絵巻の中にも犬が登場します。それくらい、ペットは昔から可愛がられていた存在なのです。かつて「畜生」と呼ばれていた動物たちも、今では「生類」と表現されるようになり、いのちの尊さがより深く理解されるようになってきました。亡くなった時、「いつか自慢できるような立派な人間になるから」と誓いました。今でもそうなっていないのが不甲斐ないです。
先日、お寺に犬が亡くなったからお経をあげてくれ、とのご依頼がありました。突然のことだったのですが、今できるその時に着られる精一杯の正装をしてお勤めをしました。お線香を一本、手向けさせていただきました。
「こんなに丁寧にやってもらえるとは思わなかった」そうおっしゃっていただけました。
私はこんな偈文を読みました。
若有諸生類 聞弥陀名号 永離三悪道 決定成菩提 如是生類 発菩提心
(にゃくうしょしょうるい もんみだみょうごう ようりさんなくどう けつじょうじょうぼだい にょぜしょうるいい ほつぼだいしん)
私訳:
全ての生き物よ、南無阿弥陀仏を聞き、地獄・餓鬼・畜生の世界を離れ、極楽に往生することは決まっている。 全ての生き物よ、極楽に往生したいという心を起こしたまえ。
南無阿弥陀仏。
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