—— 南無阿弥陀仏 ——
浄土宗の教えは、「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えることで、すべての人が阿弥陀仏(あみださま)の慈悲によって極楽浄土へ往生できるという教えです。
その核心を端的に示したのが、法然上人が晩年に記された「一枚起請文(いちまいきしょうもん)」です。
ただ往生極楽のためには、
南無阿弥陀仏と申して、
疑いなく往生するぞと思いとりて
申す外には別の仔細候らわず。
この文書は、法然上人の遺文です。
「一枚起請文」には、阿弥陀仏を信じ、お念仏を唱えることで極楽浄土に往生できること、そして難しい修行や特別な努力は必要ないことが明確に示されています。
—— 言葉の解説 ——
- ただ往生極楽のためには
私たちが極楽浄土へ往生するために必要なのは、たった一つの方法だけです。 - 南無阿弥陀仏と申して
「南無」は「おまかせします」、「阿弥陀仏」は阿弥陀仏の名前を表し、阿弥陀仏にすべてを委ねる姿勢を示しています。 - 疑いなく往生するぞと思いとりて
阿弥陀仏が必ず救ってくださるという本願を信じ、疑いを持たずに受け入れることが大切です。 - 申す外には別の仔細候わず
「南無阿弥陀仏」と唱える以外に必要なことはありません。複雑な修行や特別な行いは求められず、ただお念仏を唱えればよいのです。
—— 一枚起請文が伝える三つのポイント ——
- お念仏が中心
法然上人は、「南無阿弥陀仏」を唱えることだけが極楽往生の方法であると明確に示されました。 - 疑いなく信じる心
阿弥陀仏の本願を信じ、「必ず救われる」と、私たちは安心して日々を生きることができます。 - 他の行いや努力は不要
難しい修行や複雑な手続きは必要ありません。
浄土宗の教えでは、「信心」と「行(お念仏)」の両立が求められます。
これを「信行双修(しんぎょうそうじゅ)」といいます。
- 信心
阿弥陀仏の救いを心から信じ、「南無阿弥陀仏」を唱えれば必ず極楽往生できると疑いなく受け入れること。 - 行(お念仏)
信心を実践するために、お念仏を生涯続けて唱えること。法然上人は、「信じる心と行いはお互いを支えるもの」と説かれました。
法然上人の「一枚起請文」は、南無阿弥陀仏を唱えることで誰でも救われるという、浄土宗の基本をわかりやすく示した文書です。
阿弥陀仏の本願を疑わず信じ、お念仏を唱えることによって、私たちは心穏やかに極楽浄土への道を歩むことができます。
今日から「南無阿弥陀仏」をそっと称えてみてください。
その言葉が、あなたと阿弥陀仏、そして大切な人々とのつながりを深める温かい架け橋となります。
南無阿弥陀仏