諸行無常

諸行無常

秋もすぐに去ってしまい、風が急に冷たくなってきました。紅葉が美しく色づくこの季節。赤や黄色に染まった葉が風に舞い、やがて土に還る様子は、「すべてのものは変わり続ける」という仏教の教え、「諸行無常」を感じさせてくれます。
一見すると儚さや寂しさを感じるかもしれませんが、この変化こそが新しい始まりを生む力を秘めています。紅葉が散ることで木々は次の春の準備を整え、新たな芽吹きを迎えます。私たちの人生もまた同じです。困難や迷いが続いても、それが永遠に続くわけではなく、新しい可能性を迎える瞬間が必ず訪れます。

浄土宗には、「南無阿弥陀仏」というお念仏があります。
この言葉には、「阿弥陀如来さまにすべてをお任せします」という意味が込められています。お念仏を唱えることで、自分一人では抱えきれない悩みや不安を阿弥陀さまにゆだね、そしてその先には、苦しみのない「極楽浄土」という世界が待っています。

浄土宗で大事にしているお経、『仏説無量寿経』には、
阿弥陀如来の本願として次のような言葉が記されています。

「至心に信楽して、我が国に生まれんと欲い、乃至十念せん。もし生まれずは、正覚を取らじ。」

この教えは、私たちがどんな状況にあっても阿弥陀さまを信じ、念仏を唱えることで、必ず極楽浄土に往生できると約束してくださっているものです。この確かな約束が、日々を生きる私たちの心に安心と希望をもたらしてくれます。

これまで多くの経験を積まれてきた方々にとって、日々の変化や失ったものへの寂しさを感じることもあるかもしれません。「諸行無常」の教えは、その変化を自然の流れとして受け入れ、今を穏やかに過ごすための力を与えてくれます。
お念仏を唱えるたびに、「自分の人生は阿弥陀さまに見守られてきた」と感じ、未来に向けて穏やかな日々を送る力を得ることができるのではないでしょうか。極楽往生への確信が、日々の暮らしを支えてくれます。

未来に向けて進む若者にとって、不安や迷いは大きなものです。
「どう進むべきか」と悩むこともあるでしょう。しかし、「諸行無常」の教えは、今の状況が永遠ではなく、変化することで新しい道が開けることを教えてくれます。悪いことも、ずっとは続きません。お念仏を唱えることで、「阿弥陀さまが見守り、いつか極楽浄土に導いてくださる」という安心感が得られます。その気持ちは、新しい挑戦への勇気をもたらし、自分を信じて進む力になります。

紅葉の美しさは、変化の中でこそ輝きます。同じように、「諸行無常」の教えは、変化を受け入れることで希望を見出す視点を与えてくれるものです。
「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えることで、私たちは阿弥陀さまの慈悲に包まれ、心に平安と未来への希望を育むことができます。そして、その先には極楽浄土という究極の安らぎが約束されています。

また、お念仏は科学的にも心身を整える力があるとされています。研究では、念仏のように繰り返し声を出すことで、ストレスホルモンであるコルチゾールが減少し、心拍数や血圧が安定する効果が確認されています。別の研究では、副交感神経が活性化し、心身がリラックスすることが示されています。さらには、念仏を唱えると前頭前野が活性化し、集中力や感情の安定に効果があることもわかっています。こうした科学的な裏付けは、念仏の実践が心身に良い影響を与えることを示しています。

紅葉が美しく季節の移ろいを感じるこの時期。「諸行無常」という教えは、変化の中に希望を見出す視点を私たちに与えてくれます。そして、「南無阿弥陀仏」というお念仏は、その変化の中で心を穏やかにし、未来への力を育みます。
そしてその先にある極楽往生という教えが、私たちに揺るぎない安心感をもたら
してくれるのだ、そう信じます。

南無阿弥陀仏

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この記事を書いた人

愛知県知多郡東浦町にある「浄土宗 乗林院。「心の拠り所」として多くの方に親しんでいただけるお寺にしたいと考えています。

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